06/10/29
高校時代の話 

私の母は昔から体が弱くて、それが理由かは知らないが、 
母の作る弁当はお世辞にも華やかとは言えない
質素で見映えの悪い物ばかりだった。 

友達に見られるのが恥ずかしくて、
毎日食堂へ行き、お弁当はゴミ箱へ捨てていた。 

ある朝母が嬉しそうに

「今日は〇〇の大好きな海老入れといたよ」

と私に言ってきた。 

私は生返事でそのまま高校へ行き、こっそり中身を確認した。 

すると確に海老が入っていたが、殻剥きもめちゃくちゃだし 
彩りも悪いし、とても食べられなかった。 

家に帰ると母は私に

「今日の弁当美味しかった?」

としつこく尋ねてきた。 

私はその時イライラしていたし、
いつもの母の弁当に対する鬱憤も溜っていたので 

「うるさいな!あんな汚い弁当捨てたよ!もう作らなくていいから」

とついきつく言ってしまった。 

母は悲しそうに

「気付かなくてごめんね…」

と言いそれから弁当を作らなくなった。 


それから半年後、母は死んだ。

私の知らない病気だった。


母の遺品を整理していたら、日記が出てきた。 
中を見ると弁当のことばかり書いていた。 

「手の震えが止まらず上手く卵が焼けない」 

日記はあの日で終わっていた。 


後悔で涙がこぼれた 


900 :名無し  ID:6dlvkYXD9/